スクールカウンセラー
素敵なせんせいをめざすあなたに
Ⅼさんシリーズ 第4回
たつとみ先生が小1から高校生まで10年以上かかわったLさん。シリーズ第4回です。
管理人が公認心理師資格対策講座でお世話になった心理系予備校プロロゴス。
そちらで知り合った 公認心理師の先輩であるたつとみ先生。
スクールカウンセラーとして活躍されているたつとみ先生に、経緯や体験を連載していただいています。
類似した事例に関わってはいますが、内容はフィクションです。
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前回のお話はこちら⬇️
スクールカウンセラー 行動を強化できる声かけ
しばらく休載していましたが、再開したいと思います。
今回は、前回と引き続き、Lさんとの関わりのお話。
5年生になった頃のカウンセリング時にお母さんより、様々なことを伺う。
心配していた5年生のクラス替え後の経過について、一番仲の良いKさんと一緒のクラスにしてもらって調子が良いが、Lさん自身は何かと自分の思う通りに行かなければ
いじめられている・・
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と被害的に考えるところがあると話される。
新しい担任の先生も
牛乳飲め!
と言われる以外は嫌ではない。
以前の給食の話も先生に伝えておいたとお母さんは話される。
SCからLさん自身に伝えて欲しいこととして、自分の思い通りに行かないことについて、
たとえ全てが上手く出来なくても、部分的にでも出来ているところがあれば良いんだよ
と話してあげるようお伝えする。
最近はとにかくKさんと一緒に居たい。先日も野外活動があった際に、参加を嫌がっていた割には自分で準備して、さっさと出かけてしまった。
Kさんと同じテントで、何とかやり過ごしたとのこと。
お母さんがいない環境で寂しいときも、Kさんから
私をお母さんと思えばいいから
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と言われたとのこと。
普通に帰ってきて安心しているとのこと。本当にKさんには感謝している。
その他の変化として、完璧主義的だったLさんの口から、最近は
まあいいか!
が言えるようになってきたとのこと。
SCからは
「それでいいんだよ」とその際にそうした行動を強化できるような声掛けをしてあげてください
と促した。
不安からの行動
あとはお母さんとしては偏食が気になる。ご飯しか食べない。卵かけごはんが基準とのこと。
SCより水筒事件の影響もあるが、中学での弁当を食べることを考え、一食一口で良いから、何を食べるかLさんと話をして決めて、それを食べることを目標にしてみてはと伝える。
学校でもそのように給食時に対応できるよう、SCから伝えますと話をする。
最近は学校のことを多く話さなくなった。成長したのかと思っていたが、お母さん自身が一杯一杯になっていて、聞きたくないオーラを出していたからだとわかった。
かといってLさんは最近、いろいろな苦情(?)をよく言うようになった。
話を聞かずに怒られるのが嫌だとか、そうした意味で、最近担任の先生が嫌だとか言うようになった。
先日、書道の授業の際に、墨がこぼれていて、雑巾で拭いてはいけないと先生から言われていたので、自分のハンカチで拭いたら、汚れたハンカチを見てお母さんに怒られるかもしれないと思いだし、廊下でハンカチを洗っていたら、担任の先生に
何をしてるんですか?!
と怒られたことがあったとのこと。
同じクラスになったYさんが、「死ねば?」とか叩いたりしてくることが嫌だが、先生にも言いたくない。
Yさんは思いこみが激しい子だとのこと。
先日、いじめについてNPO法人に手紙を送るものをもらってきて、それにびっしり、誤字がいっぱいの状態で書いて、「返事を待っています。」と書いて出していた。
学校で委員会に行った際に、担任の先生が、自分が副委員長なのをわかってくれていなく、委員会に行ったら怒られたこともあった。
夜、お母さんがふと目を覚ますと、Lさんが布団を持って立っていたり、お母さんの方を立って見ていたりした。
お母さんが一緒に寝るよう布団に入れると寝ていた。本人は覚えていないとのこと。
SCからは念のため病院に聞いてみることを勧める。
不安や不満から安心させる意味で、無意識にお母さんと寝たい気持ちが出てきてるのではないかと思われることをお伝えした。
スクールカウンセラ― かかわりの継続での変化
Lさんからのお手紙を預かる。
今日はLさん自身も一緒に来て、担任の先生のことをSCに話したかったが、インフルエンザとのこと。
お手紙の内容としては、仲の良いKさんと一緒に担任の先生に対する苦情がたくさん書かれている。
Kさんと話をして、SCにいって何とかしてもらおうと思った様子だとお母さんが話される。
また、SCからお父さんともお話しし、Ⅼさんとの関わり方についてと、今後、中学に向けて、秋ぐらいまでに検査を行い、申し送りが出来るようにしていくことを確認する。
この5年生の頃のLさんの大きな変化は、苦情的ではあるが自分の意見が言える、反発する力を持てるようになってきたことだった。
思い返してみれば、お母さんとのカウンセリングの中で、お母さんはLさんとの出来事を事細かに手帳にメモ書きしてこられ、疑問に思われたことをこうしてSCである自分に話してこられてきた。
その上で共にどのようにLさん自身と関わるかを考える。そうした繰り返しが、Lさんの中で自分自身の精神的な土台であるお母さんの存在が安定し、その結果として自己主張できるようになってきた結果なのではないかと思われた。
いつも心温まるお話をありがとうございます。
たつとみ先生が
「たとえ全てが上手く出来なくても、部分的にでも出来ているところがあれば良いんだよ」
「それでいいんだよ」とその際にそうした行動を強化できるような声掛けをしてあげてください。
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と子どもたちに言われていて、素敵だなと思いました。
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わたしも日々小学生たちと接していると、「あぁ、できたのはこれだけかぁ‥」と思う場面もあるのですが、(笑)
たつとみ先生のような寛容な心で、こんな風に子どもたちに声を掛けていきたいなと感じました。
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不安なことが多くなり、無意識ながらお母さんの布団に潜り込むシーンも可愛いですね。
私も幼いころ怖い夢を見て、母の布団に潜り込んだ記憶が(笑)
子どもが甘えてきたときは受容できる親であり、教師でありたいと感じました。
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また、お母さんが娘であるLさんとの関係を見つめなおす機会を得て、お母さん自身が変容し、Lさんの成長へとつながっていくエピソードも良いですね。
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たつとみ先生がSCとして、母子へのあたたかい眼差しを向けておられるのを感じました。
〇的確な指示について
Ⅼさんが学校の約束で「雑巾でこぼれた墨を拭いてはいけない」と思い出し、ハンカチで拭いてしまった場面がありましたね。
大人の感覚だとハンカチでは墨は拭かないですね。でも、「〇〇してはいけない」という否定だけでは子どもは混乱するものだな、と改めて感じました。
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否定だけでなく、ではどうするのか?を的確に指示すべきなのですね。(例えば、墨は新聞紙で拭き取ってゴミ箱に捨てるなど)学校に勤務する者として考えさせられました。
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〇給食の牛乳について
担任の先生がⅬさんの苦手な牛乳を勧める場面がありますね。
私たちが子どものころと違ってアレルギーのお子さんも多いですし、給食のお残しに関しても厳しさが緩和されている印象です。
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また、乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)といって、牛乳アレルギーではないものの、牛乳に含まれる乳糖を消化吸収できずにお腹を壊すお子さんもいます。
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保護者さんから「うちの子は牛乳をたくさん飲むとお腹の調子が悪くなるので、一口だけにしてもらえますか」と依頼されてくることもあります。
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Ⅼさんは本能的に牛乳が体質に合わないことを察知していたかもしれませんね。
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自治体によっては、牛乳を給食に出さないところもあるようです。
時代とともに、給食の在り方も変わってきていますね。
たつとみ先生の希望で、感想をお待ちしています。
たつとみ先生に届きます。あたたかいメッセージを!
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まだまだお話は続きます
スクールカウンセラーとしてのご体験を紹介できて
感謝です
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