素敵な先生をめざすあなたに
筆者50歳
手紙を作る
次の行き先が決まるのを待ってはくれない。
確実に別れはやって来る。
みんなあての掲示用手紙を作ろう。
学校のパソコンで「春 手紙 枠」をネット検索。
可愛い花柄や、クローバー、鳥の枠などいろいろある。
五線譜の書いた枠に思わず目が止まる。これにしよ。
画像をWordに貼り付けて枠を作り、枠の中に
思いの丈を易しい文章にしたためる。
「音楽しゅう会のれんしゅうでは、『先生、ここ教えて!』と一生けんめいがんばって、すてきなえんそうになりましたね」
「校外学習では、いろんな施設を回ったり、お弁当を食べたりしたね。」
「『先生、苦手な野菜減らして!』『もう少しがんばろうよ』とやり取りして、
みんなと給食を食べたのが楽しかったです」
学年に合った漢字かどうかもチェック。
カラー印刷で打ち出した。うん、いい感じ。
パステルカラーの画用紙に手紙を貼って
周りに、花や音符の抜き型を散らして、完成。
いろんなクラスにかかわっているので、何セットも用意した。
最後の授業
○年○組さんの授業は、今日でおしまいです。
先生から皆さんにお手紙を書いてきました。
大好きな○年○組さんへ…
終業式1日前、1番多く授業に行っていたクラス。
大好きな…と読みかけて、思わずこみ上げる。
子どもたちがびっくりした目でこちらを見る。
お別れの子どもたちを前に、この文章を読むのはきつい。
子どもたちからも、手書きの表紙のついたお手紙のつづりを手渡しされた。
「○○先生へ 先生にわからないところを教えてもらってうれしかったです」
「先生に『あれんじした字もすてきだな』と言われてうれしかったです」
「○○先生のじゅぎょうが楽しみでした」
「にが手だったけど、先生のおかげで図工や書しゃがすきになりました」
たくさんのありがとう。
たくさんのありがとうをもらって、
こちらこそありがとう、なのである。
幼稚園で働いていた時の感謝のお手紙は、お母さんが代筆したり、短いコメントが園児の字で書かれていたりしたものがほとんどだった。
もちろん、今でも大事にとってある。
自分の思いを文字にして伝えることのできる小学生からの手紙は、気持ちがダイレクトに伝わって来て、よりうれしい。
たくさんの手紙の綴りは、宝物だ。
叶わない
「○年生になってもよろしくね」
「○年生でも、先生に教えてほしいです」
胸にささる。
子どもたちは、筆者がこの学校を去ることを知らない。
この学校にはいられないから、その願いはもう叶わないのだ。
しかも、コロナ禍以降から離任式は職員だけで執り行い、児童の参加はなくなった。
お別れのあいさつを子どもたちにする機会はない。
しびれを切らして
「履歴書と健康診断を用意しといて」と、校長先生から言われていた。
履歴書も作った。
健康診断も済ませた。
各校に内示も出た。
もう連絡があってもいいはずだ。
しびれを切らして「履歴書と健康診断を用意したのですが」と電話をかけると、折り返し連絡が来た。
実は…内示の動きがないので、教委に確認したところ、どうやら
こちらから研修に行かれる先生の許可が降りなくて…
つまり、その先生はこの学校に残られることになったので、
先生には来ていただけなくなったんです…
長いことお待ちいただいてたのに、申し訳ありません…
…うそでしょ…
〜がんばるあなたを応援しています
いつもありがとうございます