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スクールカウンセラーとは⑩現実的な居場所 たつとみ先生

スクールカウンセラー

素敵なせんせいをめざすあなたに

管理人
管理人

管理人が公認心理師をめざすにあたり、対策講座でお世話になった予備校で知り合ったたつとみ先生。

スクールカウンセラーとして活躍されているたつとみ先生に、スクールカウンセラーをめざす経緯や体験を連載していただいています。

類似した事例に関わってはいますが、内容はフィクションです。

スクールカウンセラーとは⑨荒れている学校 たつとみ先生

スクールカウンセラー 現実的な居場所

生徒指導員として、不登校や問題を抱える子どもたちの居場所となるべく働き始めたが、昔から自分にはある思いがあった。

それは、

不登校の子どもたちが通える教室が学校の中にあれば‥

という思いだった。

今でこそ外部ではあるが適応指導教室とかSSR(ソーシャルサポートルーム)とかが存在するが、当時『教員』ではない自分が一室を管理して、そうした子どもたちの面倒をみるということを夢見たけれど、なかなか現実的に難しいものであった。


そんな中、仲良くさせて頂いていた自衛隊を定年退職され生徒指導員をされている方が前任者という中学校に、今度は自分が生徒指導員として勤務することとなった。

申し送りがあるからと訪れたその学校で、自分はとても衝撃を受けることとなった。そこにはカウンセリングルーム横に別室があり、教室に上がれない不登校傾向の子どもたちが勉強等をしながら過ごせる別室が存在したのだった。

元々不登校生徒の多い地区の中学校であったが、そこに赴任した元自衛官の生徒指導員の先生が校長を説得し、何年かかけて作り上げたものだった。


正直感動した‥。


自分の思い描いていた空間がそこにはあった。それと同時にこういうことをやっても良いのだということをあらためて知ることが出来た。

実際に勤務し始めて気が付いたことだが、前任校よりも何倍も規模の大きい学校だったため、多少なりとも先生方の余裕があり、時間割としてその別室で勉強を教える先生を必ず組み込むことで可能となっている空間だった。

小規模校で人手のない中でさまざまな役割を担ってきた自分では、なかなか出来ないことだった。


この教室には、最初6人の生徒たちがいた。

  1. 統合失調症の中3の男の子I君。
  2. プロ野球に興味があるけれど、人と関わることが苦手な中3の男の子T君。
  3. この教室の中心人物で、いつも猫の毛を制服に付けてくる真面目だけど気弱なところがある中3の男の子K君。
  4. マンガやアニメに興味があるけれど、極度に人見知りな中2の女の子Tさん。
  5. 別室にもあまり登校してこないけれど、登校してきたら1番しっかりしているようで、どこか抜けてる中2の女の子Sさん。
  6. 小学校時から不登校で、1学期もだいぶ過ぎた頃からやっと通い出した中1の女の子Dさん。


ここに2学期から、人間関係で悩んだ中2の女の子Aさんと、家が的屋という家庭で、同じく人間関係に悩んだ中2の女の子Mさんが加わり、基本的に8人の生徒たちと関わっていた。

生徒指導員という仕事をした中で、自分の思い描いた空間で関わった子どもたちとの関係は、たった1年間だったけれど,とても深い関わりだった。そのエピソードをいくつか書いてみようと思う。

固まる女の子


人見知りな中2の女の子Tさんは、初対面の人間に対して特に話すのが苦手で固まってしまう子だと申し送りでは聞いていた。

にもかかわらず、勤務初日、Tさんは積極的に自分に話しかけてきた。

どうやら、自分が学校職員の自己紹介欄に書いた『マンガやアニメが好き』というのに食いついてきたらしかった。

Tさんの家庭は4人家族。お父さんは一軒家の階段にまで未作成の箱が並んでいて、家を建てる際に工作室まで使ってしまったぐらいプラモデルが大好きなモデラー。

お母さんは借りてきたアニメDVDをパソコンでダビングしまくるぐらいアニメ好き。

小学生5年の弟君は鉄道オタク‥と、絵に描いたようなオタク一家だった。

のちに自分が自営業としてはじめた訪問相談家庭教師業の一環として、ご家庭にお伺いする様になっただけでなく、弟君の家庭教師までする様になるのだが、自分自身もマンガアニメだけでなく鉄道もプラモデルも大好きな人間だったからか、この一家とのお付き合いは未だに続いている‥。


後からお母さんから伺った話だが、「Tはなぜかたつとみ先生だけ男性の先生でも人見知りしなかったのよね〜」と言われていた。

そんなTさんが自分の前で一度だけ固まってしまったことがある。

とある大きな本屋でTさんとお母さんとばったり出会ってしまった時のことだ。

たつとみ先生
たつとみ先生

こんにちは

と声をかけても微動だにしない。普段別室で会う時の彼女とは全く違う彼女がそこにいた。

たつとみ先生
たつとみ先生

また学校でね〜!

と声をかけて、その後日学校で会ったが、元の自分の知っている彼女に戻っていた。


その後中学校3年次、家庭教師として関わっていた自分は、お母さんに頼まれて通信制高校の見学に一緒に行き

「ここならまぁ良いかも‥」という高校に進学。

その3年後、そのまま就職するのは‥と、アニメ以外に好きな考古学とか歴史が学べる学校なら‥と大学に進学していった。

料理とか作れなかったので、ご飯の出る下宿を探して初めて一人暮らしをするというたくましさもみせてくれた。


その変化の根底には、彼女のマンガアニメ好きがあった。

というのも、家庭教師として関わりはじめてから、彼女は私にヤフオクのページを見せて、コスプレの衣装についてどう思うかを聞いてくることが多くなった。

遠く離れた大学に進学してからも、メールでコスプレのこと、たまに就職や英語のレポートのことなど、結果的にしょっちゅう相談してきた。

そう。コスプレにハマって対人コミュニケーションを克服していったのだった。


そんな彼女は、今は図書館司書として働いている。今はあの人見知りの様子は微塵もみられないようになったのだった。


おそらく、あの本屋で固まっていた彼女があの時の本来の彼女で、Tさん自身の漫画アニメ好きが自分との関わりをもたらしてくれたのだと思う。

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たつとみ先生、ありがとうございます。

不登校の子どもたちが通える教室が学校の中にあれば‥

と仰っています。

今でこそ、別室登校という言葉を耳にしますが、

わたしの長男が中学生の頃、「校舎の端の1部屋にオアシス教室というのができて、教室に入りにくい子がそこで過ごしているらしい」と聞きました。

同級生が多くいる教室には近づきにくいけれど、学校に来ることで出席扱いにもなり、学校の雰囲気も感じられる、いい取り組みだなと感じていました。

学校に通いにくい子どもたちが通える教室…

たつとみ先生がそう思っておられた頃から少し時代が下がっての、地域の中学のオアシス教室開設なので、たつとみ先生のようなスクールカウンセラーの方たちが、いろんな場で行政や学校側に働きかけてくださったんだろうなと思いました。

固まる女の子、タイトルだけ見て、場面緘黙のお子さんのお話かと…

アニメ好きが講じて、そちらの道に進むのかと思いきや、まさかの図書館司書。

「本屋で固まっていた彼女があの時の本来の彼女」と分析しておられて、なるほどと感じ入りました。

接する子どもたちの本質的なことを見抜く力も必要だな、と頭が下がります。

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2022/10/3EEDB0A0-5C8A-4E9E-BE7F-483423451946.png管理人からのお願い

たつとみ先生の希望で、連載記事の感想をいただけたらありがたいです

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たつとみ先生
たつとみ先生

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まだまだお話は続きます。

スクールカウンセラーとしての体験を紹介できて

感謝です