渡りに舟
研修に参加した筆者。
保育士不足が叫ばれて久しいですが、
国は保育士資格をもった先生を
もっと増やしたいんです。
…
これからは、幼保一元化が進んでいって、
保育士と幼稚園教諭、
両方を持った先生を増やすために、
『特例制度』というのが始まります
保育士資格、幼稚園教諭免許いずれかの資格をもち、3年かつ4320時間以上の実務経験で、もう一つの資格が取得できる制度
保育士が幼稚園教諭免許をとる場合 → 5科目8単位 を取得
幼稚園教諭が保育士資格をとる場合 → 4科目8単位 を取得
教育実習は免除
「とくれい制度?…」
研修会場で偶然耳にした大学教授の言葉を、
何度も反芻した。
- 保育士資格で働いていた実務経験3年数ヶ月がいかせる!
- 5科目だけでいい!
- ➡️学費も勉強時間も節約できる
- 教育実習に行かなくてもいい!
- ➡️教育実習のために退職しなくて良いので、継続して収入が得られる
- ➡️教育実習のための講習費も不要
ぱぁーっと、視界が晴れた気がした。
研修の会場から駐車場までは薄暗く、
日も落ちた12月の寒い夕方なのに、
帰りの足取りが軽かったのを思い出す。
幼保特例の講座
今ではあちこちの大学や専門学校で開講している特例制度の講座だが、
その制度を聞いた当初は、開講先が分からなかった。
県教育委員会に問い合わせると
次の春から佛教大学で開講します
と紹介された。
なんと、すでに学習を始めている大学である。
「渡りに舟」とはこのことか。
行き詰ったところで、特例制度という舟があるよと、有益な情報をえたのだ。
この舟がなければ、引き続いて大量のレポートと試験、教育実習をこなし、
教員免許のある対岸までへとへとで行かねばならなかった。
1年間勉強してきて体力が切れつつ有り、残り1年の間に泳ぎ切る自信もなくなってきていたからだ。
特例制度という舟が、
免許取得の川を泳ぎ切るのを助けてくれた。
幼免課程本科から特例制度のコースに
幼稚園教諭免許の課程本科で
すでに取得していた単位も生かすことができた。
特例制度の科目履修コースに切り替えたことで、
単位も学費も少なくて済み、
本当にありがたかった。
教育実習にも行かなくていい。
ネックだった教育実習での離職も免れた。
特例制度で救われた筆者は、
1年半後、幼稚園教諭免許をぶじに取得。
勤務の園もとても喜んでくれた。
かつて先生という職に反対していた両親も
お祝いしてくれたのだ。
新制度の講座をいち早く開講し、
通信教育課程に力を入れている大学だな、
と感謝している。
あの日、気になって遅くまで
研修に残ったことで、良い情報を得た。
気になったことは早めにアクションを起こすことで、次につながる道ができるのだと学んだ。
教授にお礼の手紙を
研修会でいい情報をくださったその教授に、
幼稚園教諭免許がとれた暁にはお礼を伝えたい
とずっと考えていた。
ぶしつけではあるが、
教授のいる大学あてに老舗の銘菓を添えて
お礼の手紙を送った。
その教授から達筆で丁寧な返事をいただき、
今でも宝物である。