教員採用試験は
筆者 49歳
本当に採用試験は受けないのかい?
休業要請が明け、ようやく授業が再開した6月の午後、校長室に呼び出された。
筆者の住む地域の教員採用試験に合格することで、
晴れて教育公務員となるのである。
現在は臨時講師だ。
小学校でまだ2年目なんて思えないなあ。
何回か授業見せてもらってるけど、教材準備も丁寧だし、
間の取り方といい、声のトーンといい、
もう何十年も教師やってるベテランみたいだよ。
先生だったら一発合格なのにな
年齢だけなら十分、ベテラン教師の風貌である(笑)
身に余る、有りがたいおほめの言葉を噛みしめた。
今年度から入りの授業数が去年の倍以上になったんです。
先生方みたいな引き出しがまだ少ないので、教材準備に追われてて、
これで担任になったら、責任もありますし、授業数ももっと増えますし、
学級通信を作ったり保護者対応したりする他の仕事もあって、
とても回らないんです。
段取りをしておかないと落ち着かない、気の小さい性分の筆者は
実際、6月の通常授業が始まってから1学期いっぱい、毎週末の土日のどちらか1日は
教材準備をしに休日出勤していた。
教員歴の浅い先生たちも休日の職員室に来ており、
情報交換をしたり、
おやつに持って来ていたドライフルーツとナッツの入った小袋を差し入れに渡したり、
お互いに親近感をもった。
去年までは知らなかった、新しい世界がそこにあった。
休日まで出勤するのは褒められたことではないかもしれないが、
パソコンの音だけが静かに響く職員室で、
授業の準備やクラス運営に奮闘する、若いエネルギーを感じたのである。
若い時に、存分に打ち込める仕事があることが、羨ましくもあった。
高学年と低学年の担任の授業数の差を是正するために取られる措置で、
各担任の持ち授業数をほぼ一律にするために、担任を持たない教員に代わりに授業に入ってもらい、
その間、担任は授業の準備に当たったり、研修を受けたりする
(…という解釈をしている)
なので1年生担任は入り授業はゼロ、高学年は多くなる。
フリーの教員から見ると「入り」授業
担任からすると「貴重な空き(あき)」の時間になる
1年生は月曜から金曜まで5時間目。週25時間びっしりあるが、午後の6時間目はない。
高学年は6時間の曜日がほとんどだが、空きの時間が多い分、教材準備や〇付けなどに当てられていい、という先生もいる。
入り、空きというシステムも、学校に採用が決まってから知った。
年齢制限
遠い昔、「うちの県は年齢の上限が50歳だから、他県からも受験者が流れてくるんだよ」と聞いたことがあった。
50歳なんてまだまだ先だと思っていた(笑)
校長先生は気付いておられなかったが、
早生まれの筆者は、今年度でも「ギリギリアウト」なのだ。
教育に情熱を燃やす、若い先生たちを応援したい。
採用試験が受けられない年齢になってから、小学校教員が板についてきたのも
運命だと感じて、今の自分にできる最大限の努力をしようと思う。
去年の今頃も同じ質問をされていた。「採用試験は受けないの?」
かつて講師として働いていた同僚の先生が、
40代半ばで教員採用試験に合格したと、風のうわさで耳にした。
いつも前向きで、熱心に子どもにかかわっておられた先生。
忙しい勤務や家事のかたわら、教員採用試験の勉強もしていたのだ。
その頑張りに心からエールを贈りたい。
と、同時に
胸が少し痛い。
小学校教員になったばかりの頃は精一杯だったので教員として働けるだけでありがたいと思っていたが、
1年経つと余裕がでてきて
もう採用試験を受けることも叶わないんだと
…
年齢の上限が間に合うなら、
責任も伴うが待遇も収入もぐっと良くなる正規の教員を、ぜひめざしてもらいたい。