素敵なせんせいをめざすあなたに
子育て支援のひろば
筆者36歳ー40歳
末子が幼稚園に入園するタイミングで、地域の子育て支援のボランティアの依頼があった。
市内の公民館で未就園児と母親を対象に、お誕生会や季節の制作物作りなどの活動を行うものだ。そこでの企画や当日の進行をするという。
かつてわが子たちも顔を出したことがある。地域にご恩返ししたいと考えていたので、ピッタリの内容だ。
乳幼児やお母さんの前での読み聞かせや、ピアノ伴奏は、保育士資格取得にも役立ちそうである。二つ返事で引き受けた。
楽しんで取り組む
七夕の前には、みんなで星や天の川などの飾りをつくり、短冊に願い事を書いて公民館のロビーに飾ってもらった。
誕生日の子どもがいるとHappy birthdayをピアノを弾いて歌い、お祝いした。
敬老の日が迫って来ると、子どもの手形や足形をスタンプで葉書に押して、おじいちゃんおばあちゃんに送れるようにした。
以前、両親に送ったわが子たちの手形を、大切に実家で飾ってくれていたのを覚えていたのだ。
春が近づくと「うれしいひなまつり」の楽譜を弾きやすくアレンジして自宅で練習し、ひな人形を折り紙や紙皿で作って、みんなで歌った。
ボランティアの謝礼はわずかではあったが、アイデアがむくむく湧いてきて、自分の思うように実行できるのは本当に楽しかった。
通ってくれる自分より年の若いお母さんに、相談を持ちかけられることもしばしばあった。
ちょうど末子が幼稚園に在籍した3年間、子育て支援活動を行い、
最後の1年は活動と平行して、保育士資格の勉強を始めた。
一本の電話
筆者40歳
奇跡的に一回の試験で全科目合格、後日届いた保育士証の日付は1月22日だった。
2か月後の3月29日、自宅の電話のベルが鳴った。
幼稚園の特別支援担当の先生として来てもらえませんか?
一緒に子育て支援活動のひろばをしていた主催者からだった。本来は幼稚園の教員で、3年間だけ子育て支援の部署に異動で来ていたのだ。
支援が必要な園児のサポートをする仕事だという。
末っ子もちょうど小学校に上がる。勤務時間は8時半~15時15分まで。冬休みの出勤はなし、春休みは3月の出勤は無し、夏休みの出勤は10日ほどだけだという。
両親ともにまだ仕事をしていて、「忙しいから簡単に連絡して来ないで」とくぎを刺されていたことも有り、長期休暇での出勤が気掛かりだった。勤務条件が合っていてホッとした。
連絡をくれた幼稚園教員は、嬉々として活動に取り組む一母親の働きぶりを身近に見ていて、市の幼稚園に推薦してくれたのかもしれない。
幼稚園で働く夢を母に一蹴されてから23年。
40歳になっていた。
…
「やりたい仕事のそばにいた」から、やりたい仕事に近づいたのだと感じた。
初出勤の朝、ラジオから「いきものがかり」の「ありがとう」の歌が流れてくる。
♪ありがとうって伝えたくて…♪
これは夢じゃない?
ありがたくて涙が止まらなかった。