心理師をめざした理由
1. はじめに ― 教員から心理師へ
私は小学校の教員をしていました。
なぜ教員だった私が心理師をめざしたのか。
その背景には、これまでの歩みや、
心理士さんとの出会いが深く関わっています。
2. 教員になるまでの遠回り
もともとは「先生になりたい」と思っていました。
でも、両親の反対に遭い、親に勧められるまま大学→銀行員→結婚という道を歩みます。
その中で、本当にやりたかったことを見失っていました。
3人の母になったあと、子育てに追われる毎日。
密室育児に心が疲れてしまったとき、地域の民生委員さん(元教員や元保育士)との関わりで救われました。
そのとき気づいたのです。
「やっぱり私は先生になりたかったんだ。
支えてくれた地域に恩返ししたい」
恩返しは、私ががんばれる原動力になりました。

3. 子育てと資格取得の挑戦
39歳で保育士資格を取得。
40歳から幼稚園の先生をしながら、通信教育で幼稚園・小学校・特別支援学校・中学校英語の教員免許を7年かけて次々に取りました。
ようやく夢見ていた「先生」になり、子どもたちと過ごす日々は新鮮で楽しかったのです。
けれど、職場の人間関係に悩み、体に不調が現れました。
7センチもの円形脱毛、物置で涙をこらえる毎日…。ついには職員室で倒れ、救急搬送されたこともあります。
体は正直でした。
「無理をしてはいけない」と突きつけられた瞬間でした。
4. 心理士さんとの出会い
そんなとき、私を導いてくれたのが心理士さんたちです。
一人目は、職場に巡回相談に来ていた臨床心理士さん。
子どもの話をしていたのに、気づけば自分の悩みを話し、涙が止まりませんでした。
静かにうなずきながら話を聴いてくださり、「味方ができた」と感じたのです。
「私のように困っている人がいるはず。この相談室に座っている心理の先生になりたい」
そう決意した瞬間でした。
二人目は、勤務校にいたスクールカウンセラーの先生。
不登校の子の背景を鋭く見立て、ケース会議でも的確に話される姿に衝撃を受けました。
「心理を学んだ人の視点はこんなに違うのか」と憧れたのです。
数年後、このHPを通して知り合った女性から「国家資格公認心理師」のことを聞き、半年間の猛勉強の末、試験に合格し、

5. これからの歩み
子どもたちの不登校や、先生や親御さんが抱える葛藤。
身近にあるその悩みに寄り添いたいと思うようになりました。
わが子たちの同級生が不登校になっていく姿を、何度も見てきました。
学校に通っていた子が来られなくなり、元気な笑顔が見られなくなる。
親御さんも葛藤を抱え、どうにもならない状況に悩む…。
そんな姿を見るたびに、心が痛みました。
だからこそ、かつて心理士さんに私が支えてもらったように、今度は私が支える側になりたい。
悩む先生やお母さん、そして子どもたちの力になりたい。
そのために、これからも学びと挑戦を続けていきます。
そしていつの日か――わが子たちが育った高校で、スクールカウンセラーとして恩返しをすることも、私の大切な目標のひとつです。
6. おわりに ― 第3章の扉を開く
人生でいえば、私は今「第3章」に入ったところ。
これまでの歩みを力に変えて、心理師として、そして支える人として歩み続けたいと思います。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
私は「教員を辞めたから」スクールカウンセラーをめざしているのではありません。
また「定年後の仕事」として心理師を考えているのでもありません。
子どもや先生、保護者の方々が抱える葛藤に、少しでも寄り添える存在になりたい。
その思いが、私の歩みを支えています。


