スクールカウンセラー
素敵なせんせいをめざすあなたに
Ⅼさんシリーズ 第3回
たつとみ先生が小1から高校生まで10年以上かかわったLさん。シリーズ第3回です。
管理人が公認心理師をめざすにあたり、対策講座でお世話になった心理系予備校プロロゴス。
そちらで知り合った 公認心理師の先輩であるたつとみ先生。
スクールカウンセラーとして活躍されているたつとみ先生に、経緯や体験を連載していただいています。
類似した事例に関わってはいますが、内容はフィクションです。
前回のお話はこちら⬇️
スクールカウンセラー 環境への慣れ方を伝える
Lさんは小学5年生となり、慣れ親しんだN先生からA先生に担任が変わった。
Lさんは環境の変化に弱いため、Lさんのお母さんは当初とても心配されていた。
しかし、その心配に良い意味で反して、Lさんは新しい環境にも上手くなじんでいくといった様子がみて取れた。
それどころか、徐々にA先生に対する愚痴など、今までであれば教室に上がりにくい状況が出ていたものが、反発するような形が出始めてきた。
SCの自分としては、そうしたお話をお母さんから伺い、環境への慣れ方を学んできたと共に、年齢的に反抗期的なものも出始めたのではないかと考えていた。
最高学年に進級
そしてLさんがついに小学6年生に進級する時、実は一つ危惧していることがあった。
Lさん自身のことではなく、SCである自分のY公立小学校への勤務がまた連続2年目を満了し、転勤する可能性が高かったことだった。
しかし、蓋を開けて見ると何と単一小学校への連続3年目。
Y小学校に関していえば都合5年目の勤務に突入することが決まった。
余談ではあるが、後日、K指導主事からY小学校の保護者数人から教育委員会に電話をもらったのだとも聞かされた…。
大変ありがたい話ではあるが、その分頑張っていかなければならないなとも思った出来事だった。
そんな当のLさんは小学校の最上級生になり、中学生になることを意識し始めていた。
スクールカウンセラー 出会いと別れ
そんな中、学校での良き理解者であった養護のT先生が転勤され、新しくK先生が来られる。
T先生とお別れするに当たり、さすがに泣いてしまったが、もしあのままT先生が保健室に居たら、Lさん自身保健室から離れられなかったと、前向きにとらえて話していたと、後日お母さんから伺った。
そんなお母さんが気になるのは、最近習い事で1週間が埋まっていることだという。
日曜日ぐらいは休んだ方が良いのではと思う状態。その中でもバトンに一番ハマっている。
ただLさん自身、習い事があるからと、友達からの誘いを断れるから良いと言っていた経緯もあり、自分なりに考えてはいる様子だった。
運動会の前日もバトンの発表があり、お母さんから、「出るのをやめたら?」と尋ねると、かなり悩み「運動会を出るのをやめる!」と言い、それにはさすがにお父さんも笑っていた。
Ⅼさんの成長
ある時、最近は自分の部屋が欲しいと話しているとお母さんから伺う。
疲れているのもあるようで、いつもお母さんと一緒に寝るのだが、先に一人で寝ていることも増えてきたそうだった。
お母さんから、この4月から赴任された養護のK先生より、良い日とダメな日があることを伺ったとお話を伺う。
Lさんと養護のK先生との関係は、前のT先生との関係ほど強いものではないが、Lさん自身としては、T先生が転勤されたことによって、良い意味で自分自身は保健室に入り浸りにならなくなったと話していた。
ただ、給食については頑張って食べているが、無理をしているかもしれない。
先日、担任の先生から、給食を残さずにちゃんと食べることについてお話しする機会があり、それに対して自分に言っているのだと思い込み、頑張ってしまっていたとのこと。
また、朝は自分で起きれるようになった。
一人部屋について、先日いらないと言ってきた。一緒にお母さんが居ないと寝なくなり、お母さんがいつも寝る前に本を読むのだが、Lさんが寝るのに邪魔だからと電気を消さされてしまい、お母さんはいつもLEDライトで読書をさせられるとお母さん自身の不満も述べられる。
お母さん自身のLさんに対する不満が述べられるようになるまで精神的な余裕が出来てきたのだなと感じさせられた。
学校に登校するのも母親と来ているが進歩はある。まず最近は、家を出る前に泣かなくなった。
そして先日の集団下校は、お母さんを待たずに集団下校出来たとのこと。
SCである自分からは、だんだんとⅬさん自身が周囲の子たちの動きを真似て、自分から一人で行くことを言ってくると思われることをお伝えする。
その後、夏休みに入り、食べる量が減った。
土日にバトンの練習があり、お腹は空くけれど食べられない。
食べられないことを人から指摘されてトーンダウンしたりする。
でも鉛筆が入っていた水筒を、昨日から持っていくようになった。
それまでは中が見えるペットボトルにお茶を入れて持っていくという対策をしていたが、夏になってさすがに暑くなったので、水筒を持って行かない訳にはいかないので、ペットボトルにお茶を入れて凍らせていた。
しかし、たまたま前日にお母さんがペットボトルのお茶を凍らせるのを忘れ、冷たくないのが嫌なため、自分から水筒を出して欲しいといったとのこと。
夏休み明けは、学校が始まる前に「何で学校が始まるんじゃろ~。」と言っていたが、同じクラスの中の良い友達が夏休み明けから迎えに来てくれて、同じマンションの友達を一緒に迎えに行って、その妹さんと4人で仲良く登校することが出来た。
給食に関しては、引き続き学校と連携して減らす対策を取っているとのこと。しかしながらLさんの体重は減っていた。
スクールカウンセラー 良いイメージへの変換
LさんがN先生に、水筒の事件は忘れられないと言っていたことをお母さんがSCである自分に話してこられる。
SCからは忘れるのではなく、『忘れない』ということはいろいろ確認出来たり、良いことがあるのだという良いイメージに変換していくことが必要であるとお母さんにも本人にも伝えた。
学校ではN先生からLさんに、咀嚼についても20~30回噛んだら、鉛筆も粉々だと伝える等のお話をされたとのこと。
学校と連携し、Lさん自身の不安を取り除くような連携ができていた。また次回に続きを書こうと思う。
いつも心温まるお話をありがとうございます。
Ⅼさんがさまざまな葛藤を乗り越えて、成長していく様子が手にとるように分かります。
ふと飲もうとした水筒から鉛筆がでてきて、さぞ怖かったことでしょう。
ほかの食べ物にもいたずらが仕掛けてあると思うと、飲むこと食べることから離れてしまう…
人への不信感にもつながっていきますね。
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中身の見えるペットボトルに変えるという、物理的な対応をされたことはさすがですね。
鉛筆を咀嚼すると粉々になる話も、「大丈夫だから飲みなさい」といった感情論でなく、
Ⅼさんを良い方に自然に導く建設的な方法だと感じました。
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「忘れるのではなく、『忘れない』ということはいろいろ確認出来たり、良いことがあるのだという良いイメージに変換していくことが必要である」
たつとみ先生からの言葉も、深いなと感じました。
こういう変換も大切ですね。
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こうした場面でも、保健室の先生である養護教諭の先生の存在の大きさを感じました。
また続編も楽しみにしています。
たつとみ先生の希望で、感想をお待ちしています。
たつとみ先生に届きます。あたたかいメッセージを!
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感想をお寄せくださるとうれしいです!
まだまだお話は続きます
スクールカウンセラーとしてのご体験を紹介できて
感謝です