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公民館の習字教室

習字教室

素敵なせんせいをめざすあなたに

習字教室 学校の帰り道に

筆者 小学生

田んぼに囲まれた小学校を出発し

長い長いあぜ道を歩くと集落が見えてきて、

幼稚園と公民館が隣接して建っている。

毎週水曜日になると、公民館の廊下に

ランリュックを置いて通った。

水曜日の公民館の玄関は

子どもの靴であふれていた。

学校帰りに行けるし、親も送迎しなくていい。

その町に住む子どもはみんな通っていた。

子どもの多い時代で

公民館の広くない会議室は

人がごった返して賑やかだった。

習字教室 練習

会議室にロの字に置かれた長机で

習字の先生の書いたお手本を見ながら

鉛筆書きの硬筆を何度か練習する。

会議室の前の方に座っている先生に

OKをもらったら、硬筆の清書に取り組む。

習字教室 毛筆作品

今度は毛筆で練習をする。

硬筆と毛筆の場所は分けてあり

毛筆を書けたらその作品を掲げて

部屋の反対側にいる先生に

見せる方法をとっていた。

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2021/07/41B5C459-CD8A-45F9-BF5B-A343383644D9.png小学生

先生、これでいいですか?

聞き分ける

子どもたちの話し声で賑やかな一室。

硬筆の作品にOKをもらうために、

先生のところに並んでいた。

女児が毛筆の作品を遠くから見せたが、

忙しい先生が気がつかず、

女児は作品を下げた。

おそらく

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2021/07/17183E1B-4DE5-4909-823F-B7AC39035D89.png女児

チェッ、(さっきから呼んでるのに…)

間を置かず

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2021/07/3940F0FC-A7DB-459A-911E-2B4EF88D5C92.png書き方の先生

今 舌打ちしたでしょ!

順番なんだから待ちなさい。

舌打ちするような人の作品は見ません!

…騒がしかった会議室が一瞬静かになり、

女児はうなだれた。

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2021/07/42898751-54CD-4FBA-9E92-39872BF8D521.png小学生の頃の 筆者

こんなに部屋がうるさいのに

遠くにいる子の

舌打ちが聞こえてる先生って、すごいな…

舌打ち

習字の先生は騒がしい中でも

舌打ちを聞き分けた。

舌打ちというのは、良くない雰囲気になる。

そのことを分かっての指導だったのだろうか。

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2021/07/8374E999-0039-4592-A0B8-14CD572AF4A0.pngエッセイスト

チェッ、という舌打ちというのは

その場の波動がすごく下がります。

どんな時も、舌打ちしてはいけません。

何かで読んでこのできごとが浮かんだ。

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2020/02/3B08C21D-27C8-4839-938C-C16B59418A8C.png30代の筆者

子どもの頃、習字の先生が

舌打ちした子をすごく怒ってたなぁ…

聞こえる

教師になって図工を指導した時。

せっかちの子どもが作品を見せに来たが、

他の子どもの対応をしていた。

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2021/07/8DC79639-E459-44CA-8669-C7184299A403.png男児

チェッ(早く見てよ)

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2020/02/3B08C21D-27C8-4839-938C-C16B59418A8C.png筆者

今、舌打ちしたでしょ?!

雰囲気が悪くなるから、舌打ちは止めて。

順番に見るから、静かに並んで待ちます。

以降、クラスで舌打ちを聞いたことはない。

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2020/02/3B08C21D-27C8-4839-938C-C16B59418A8C.png筆者 心の声

習字を習ってた時、

うるさくても舌打ちを聞き分けた先生って

すごいな…と思ってたけど、

わたしにも舌打ちが聞こえたわ…。

見ている

今思えば、特定の子どもに指導していても

ある行為に対してどのように対応するか、

周りの子どもも良く見聞きしているものだ。

「こういうことをするのはダメなんだな」

と理解したり、

「こういうことは、良いことなんだ」と

次から同様の行為をとろうとしたりする。

なので、「好ましい行為をほめると良い」と

言われるのだろう。

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2020/02/3B08C21D-27C8-4839-938C-C16B59418A8C.png筆者

きょうだいの下の子どもほど、

大人の怒るポイントを良く見ていて、

余り叱られないと言われるのは

この辺りからでしょうか

長子の筆者は親によく叱られたものです(笑)

公平性や正当性も大切であるし、

間を置かずに指導するタイミングも必要だ。

逆に、特定の子どもだけに指導したい時は、

廊下や特別教室に連れ出す。

冊子に

数年通った教室で

先生の思うような上達をしたかは疑問だが、

毎月配られるお手本の冊子には、

昇級していると名前が載った。

虫眼鏡でないと見えないくらいの小さな字で

自分の名前を見つけるとうれしかった。

スモールステップでも目に見えるとヤル気になる。

お手本と昇級者の名前が載った冊子

すでに

一番のインパクトは、この舌打ちの件だ。

https://sensei.style/Japan/wp-content/uploads/2021/07/42898751-54CD-4FBA-9E92-39872BF8D521.png小学生の頃の 筆者

こんなにうるさいのに

舌打ちが聞こえてる先生って、すごいな…

と感じている子どもの頃の筆者。

すでに先生側の視点を持っていたのかも(笑)

指導する者としての在り方を教えていただいた

厳しくも篤かったK先生に感謝である。