素敵なせんせいをめざすあなたに
筆者50歳
隠れ家
最後の出勤日は離任式。
お世話になった部屋を掃除したい。
クラスを持たないフリーの筆者は、図工と音楽を教えていた。
音楽室は大抵、どこかのクラスが授業をしているけれど、
図工室はほとんど空いている。
辛いとき、図工室が筆者の隠れ家だった。
図工室に作品やプリントを持って行って、採点や評価をした。
以前、担任の先生と図工室に物を取りに来たとき、「ここ、わたしのかくれが」と笑って言うと
そういうの、大事ですよ。
ボクも辛いとき、教室にこもって仕事してますもん。
筆者には気安く話すけれど、
実は人見知りがちだという繊細な彼が呟いた。
先生も、辛いときに放課後の教室で
ひとり仕事してたんだなぁ。
悲しいとき、悔しいとき、かくまってくれた図工室、
今日でお別れ。
おろしたての雑巾を濡らして、お礼の掃除をしよう。
椅子とりゲーム
図工室と同じ階に、音楽室がある。
音楽を担当していた筆者は、毎週この部屋を使った。
‥今日は最後の授業なので、お楽しみ!
せんせいが今年音楽で習った曲を弾くから、
曲が止まったところで椅子に座るよ!
ひとりきりの音楽室で、机を水拭きしながら思い出す。
歌はほとんどできなかったけど、リズム遊びや楽器をたくさんしたな。
心に浮かぶのは、なぜかヤンチャな子の笑顔。
グランドピアノの鍵盤のふただけ開けて、弾いてみる。
‥校歌を練習してたら、見回りに来た教頭先生が褒めてくださったっけ。
ここの校歌を弾くこともないんだな‥
職員だけの離任式
離任する教員がズラリと並ぶ。
たくさんのありがとう、たくさんの贈りもの
昨夜用意したありがとうシールの小袋を、ひとりずつ手渡しながら感謝を伝える。
子どもたちやお母さんたちに囲まれる離任式もいいけれど
苦楽を共にした教員だけの離任式も悪くない。
それぞれの思いを胸に、新しいステージに旅立つ。
〜がんばるあなたを応援しています
いつもありがとうございます♪