素敵なせんせいをめざすあなたに
試験前は猛勉強
小学校の教員免許の勉強をしていた平成最後の年。
受講していた佛教大学通信教育課程は、会場での筆記試験が最終年度だった。
科目最終試験では、1科目につきおよそ6パターンの設題から1つが出される。
膨大な記述の教科書から重要事項を抜き出し、ノートに記述したりメモを持ち歩いたりして記憶。
教科書持ち込み不可、B4白紙の解答用紙に設問に対する答えを書き綴っていく試験に、毎月のように挑んでいた。
道徳は必修教科
教員免許を取得するために、道徳は必修教科だった。
教師になるためには大切な教科であろう。指定の教科書を読んで、3200字のレポートを提出する。
教科書には気になる箇所に付箋を貼り、読み返してはまとめていくのだ。
これらのレポートは、言うならば筆者の作品。大切にとってある。
フィヒテの思想
道徳教育の基礎 田中圭治郎 著 佛教大学
道徳の教科書で忘れられない一節がある。
フィヒテというドイツの哲学者の項目で
人間が道徳的生を送るためには良心の声に服従せねばならず(中略)
しかしわれわれはその意思に基づいて行動したとしても、たとえ思うような結果を出せなかったとしても、われわれは自分の生を断念してはならないとフィヒテは説く。
地上的世界でうまくゆかずとも、良心に基づいて為された行為は超地上的世界の目的のためには大きく寄与している。
田中圭治郎著(2006)道徳教育の基礎
当時、寺子屋のような学習の場で子ども達の学習を見守っていた筆者。
この一節について、レポートに
「…大きく寄与している」
とあり、感涙に咽んだ。
筆者は平日夕方や週末、
地域の小学生達に勉強を教えている。
…
時間や資金を要しても小免を取得し、
子ども達により良い指導ができればという
「良心の声に従って」の受講だ。
フィヒテは時空を越え
日本の一市民にも道徳教育思想を届けている。
と恥ずかしながら綴っている。
良心の声に従って
いただいたお給料の中から学費を捻出し、さまざまな教員免許や検定などの学びを続けてきた。
貴重な休日に、朝からずっと机の前にいるわ
お金も時間も使って…
人生も折り返しているのに…
…そこまでしなくてもいいのかな
と戸惑うこともあったが、ふとフィヒテの一節が頭をかすめる。
このレポートでA評価をいただいた。
これからも良心に従って歩いていきたい。
生きる指針となるような、素晴らしい考えを示してくださったドイツの哲学者フィヒテや
佛教大学の田中教授に感謝である。