スクールカウンセラー
素敵なせんせいをめざすあなたに
管理人が公認心理師をめざすにあたり、対策講座でお世話になった予備校。
そちらの受講生やOBによるzoom発表では、スクールカウンセラーとして活躍しているたつとみ先生から過去にも何度かお話を聴き、感銘を受けていました。
たつとみ先生に、スクールカウンセラーをめざす経緯や体験を連載していただけることになりました。
類似した事例に関わってはいますが、内容はフィクションです。
スクールカウンセラー 学校という場所
高校という新たな環境で、自分はいつのまにか学校という場所について考えていた。日本古来の文化で『村社会』というのが存在する。
これは、『ムラ』という一つの集団の中で決められた『決まり事』は絶対であり、これをやぶる者は村八分、つまり火事や葬儀などの最低限の『二分』以外は、人間としてその村では仲間はずれにされるというものである。
実はこの文化が、いじめなどに拍車をかけているのではと自分は考えた。
日本の教育システムは、多くの人間を同じカリキュラムの中で育て、同じ能力を持つ人間を育成するというものだが、クラスというひとまとまりの集団の中で、それぞれの個性を殺し、平均的に育ててしまっているのではないだろうかと思った。
そしてそこにいる子どもたちの多くは、クラスという枠組みに守られ、
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あたかも平均的でいることが当たり前となり、個人的な行動、すなわち『個性』をゆるさず、言いたいことは言えず、
出る杭は打たれ、その結果いじめを引き起こし、また、自分一人では何も決められない人間となっているのではないだろうか。
あくまでこれは一例だと思うけれど、こうした環境の中で、『自己決定の出来ない不満』を抱いて不登校は起こり、そしてそれを訴える『場』が、今の学校には不足しているのではないだろうか。
スクールカウンセラー への目覚め
高校生活という何も悩む必要のない環境の中、学校へ行くということが苦痛でなくなったのは、この時がはじめてであろう。
しかし、学校というものそのものを疑問に思ってしまった自分にとって、そこは毎日をなにげなく過ごす場でしかなかった。
高校での時間は、今までの時間を取り戻すかのように、友人たちと遊ぶ時間となっていた。
それまでの出来事を疑問に思いつつも、未来の見方もわからず、ただ、その日だけを暮らしていた。そんなある日、あの出来事は起こった。
中学生時代、いじめにあいながらも、仲の良い親友と呼べる友人が出来た。彼は、高校こそ違ったけれど、中学卒業後もたびたび会っていた。
その彼が、高校2年生の夏、交通事故により亡くなってしまったのだ。
その日、自分は前日に親友と電話をし、学校帰りに彼の家に遊びに行く予定だった。
授業が始まってからしばらくして、学年主任が教室にやってきた。
担任と廊下で何やら話をした後、自分を呼んだ。そして親友が危篤だという連絡が学校に入り、早退届を出しておくから病院に行ってやれと自分に言ってくれたのだった。
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何がなんだか訳がわからなかった。病院に着いたとき、彼が交通事故にあい、まだ生きてはいるが時間の問題であることを聞かされた。
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生命維持装置をつけ、彼が横たわる姿を今でも思い浮かべることが出来る。彼の生命はもう後わずかだとわかっていた。そして、そんな彼を前に、自分は一体何が出来るのだろうと深く考えた。
彼に対して何がしてやれるのだろうと。3日後、彼が自然と息を引き取ってから、その考えはやがて、自分は何をしていけばよいのだろうという考えに変わっていた。
それまでの自分は、身近な存在として父を目標に生きてきた。エリートとして成功を収めている父を目指していれば、まず間違いないだろうと思っていた。
高校時の自分は、それだけなにげなく生きていたのだ。しかし、親友の死は、自分に深い疑問を与えた。自分はこのままでよいのか、本当に自分のしたいことは何なのだろうか、と。
それから数ヶ月の間、同じことばかり考えていた。いや、その疑問を解決しなければ、先には進めないと思った。
そんなことを考えながら、自分はいつしか、いじめを受けていた昔のことを思い出していた。『人の死』というものについて考えた。自分は自殺を考えたこともあった。
そんな自分が生き残って、少なくとも自分の目からは幸福に生きていた親友が死んでしまった。
そう考えていたある日、ふとあることに気がついた。この世の中には、たくさんの『不登校』や『いじめ』に悩んでいる人がいる。そして、どこにその悩みを打ち明けたらよいかわからないでいる。
でも、自分はそうした『場』がないことを知っているじゃないか。
『不登校』や『いじめ』に悩んでいる人のことが、少しでもわかるじゃないか、と。
それから自分は、『スクール・カウンセラー』という大きな生きる目標が出来たのだった。
貴重なお話を聴かせていただいてありがとうございます。
高校生だったたつとみ少年が、冷たく横たわる親友と向き合った思いは如何ばかりか…
「数ヶ月の間、同じことばかり考えていた」少年は
疑問を解決するために、前に進みはじめます。
まだまだたつとみ少年のお話は続きます。
たつとみ先生の希望で、連載記事の感想をお願いできればありがたいです
たつとみ先生に届きますので、温かいメッセージをいただけたら
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スクールカウンセラーの先輩から、貴重なお話を伺って、皆さんにお伝えできる機会を得て
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