小学校で図工専科をしていた頃の話です。
クラスに、勉強はちょっと苦手だけど、気立てのいい男の子がいました。
ある日の授業参観。教室には、子どもたちが図工の時間に作った作品が並んでいました。その子は、来ていたお母さんの手を引っ張って、自分の作品のところまで連れていったんです。
「これ、僕のだよ!」
そう言ったときの顔が、本当にキラキラしていて。お母さんも、隣でニコニコしていました。
もうずいぶん前のことなのに、あの表情を今でも思い出されます。
「できる・できない」だけで子どもを測ってはいけない理由
学校にいると、どうしても国語や算数みたいな教科で「できる・できない」が目についてしまいます。テストをすれば、点数もはっきり出ますし。
でも、あの子を見ていて思ったんです。子どもをひとつの物差しだけで見るのは、もったいないなって。
文章を読むのは、ちょっと苦手。計算にも時間がかかる。だけど、絵を描いたり何かを作ったりするときは、驚くほど夢中になれる。そして「これ、僕が作ったんだよ」って、胸を張れる瞬間がある。
学校には、そういう瞬間がちゃんとあります。図工という教科のよさのひとつは、まさにそこにあるんじゃないかと、私は思ってます。
先生にも得意・不得意がある
これは子どもだけの話じゃありません。先生にだって、得意なことと苦手なことがあります。
ちなみに私は、運動があまり得意ではありません。体育の授業でお手本をビシッと見せられる先生を見ると、いつも「すごいなあ」と思っていました。
いっぽうで、文章を書くこと、教材を考えること、子どもの様子を細かく見ることは好きでした。幼稚園で働いた経験もありますし、壁面も担当してきました。ただ、美術の教員免許は持っていません。
それでも学校で働いていると、「この先生はこれが得意」「この先生に聞けば詳しい」というのが、自然と見えてくるものです。
先生は、なんでも完璧にできる人である必要はありません。むしろ、先生ひとりひとりの得意が違うからこそ、学校って面白いのかもしれないなと感じています。
図工専科とは?小学校における専科教員の働き方
小学校には、担任がすべての教科を教えるやり方だけでなく、特定の教科を中心に担当する「専科」の先生がいます。図工専科も、そのひとつです。
ひとつの学級だけでなく、複数の学年や学級の図工を掛け持ちすることもあります。
図工が好き。ものを作ることが好き。子どもの作品を見るのが好き。材料を集めたり、教材を考えたりする時間が楽しい。そういう「得意」が、学校の中で生きる可能性があります。
図工専科になるには?知っておきたい注意点
ここは正確にお伝えしておきたいのですが、図工専科の配置や採用方法、必要な免許は、自治体や学校、募集区分によって変わります。「図工が得意だから、そのまま図工専科になれる」というわけではありません。
大切なのは、学校には得意を生かして子どもと関われる働き方もある、ということを知っておくことだと思います。
「先生に向いているか」で悩む前に考えたいこと
社会人になってから、「先生になってみたかったな」とふと思う人がいます。
でも、そのすぐあとに、「もう年齢的に遅いかも」「勉強に自信がない」「自分に務まるのかな」と考えてしまう方も、実は少なくありません。
そんなとき私は、「先生に向いているか、向いていないか」だけで考えなくてもいいと思っています。
少し、問いを変えてみませんか。
あなたは、何が得意ですか?
絵を描くこと。英語。音楽。理科。パソコンやICT。ものを作ること。誰かにわかりやすく説明すること。子どもの話をじっくり聞くこと。整理すること。
得意は、人によって全然違います。その得意を学校の中で生かすとしたら、どんな形があるだろう。そんなところから、先生という仕事を考えてみてもいいんじゃないかなと思うんです。
あなたの得意を学校でどう生かせるか
あの授業参観の日、自分の作品をお母さんに見せていた男の子は、本当にうれしそうでした。
あの子にとって図工の時間は、「自分にもできる」「これが僕の作品だ」と思える時間だったのかもしれません。そして私は、その姿をそばで見ていた先生のひとりでした。
学校には、子どもの得意が輝く場所があります。だったら、そこで働く大人にも、自分の得意を生かせる場所があっていい。そう思っています。
この「専科シリーズ」では、これから
あなたの得意を、学校でどう生かせるか
という視点から、いろいろな教科や働き方を取り上げていきます。
先生になりたい。でも、自分にはどんな方法があるのかわからない。今まで持っている資格や経験を、学校で生かせるのか知りたい。
そんな方は、ひとりで答えを出さなくても大丈夫です。これまでの経験や得意なことを、一度並べてみるだけで、思っていなかった道が見えてくることがあります。
「私の得意なら、学校で何ができるだろう?」
一緒に整理してみませんか。
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どこから始めればいいか、一緒に整理できます。
あなたがこれまで積み重ねてきたものが、学校で生きる道を、一緒に探していけたらと思っています。
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